自己破産できない場合とは?元事務員が解説

こんにちは、ケイです。
「自己破産したくても、できない場合があるって聞いた……」 「ギャンブルしてたら、やっぱり無理なの?」 「財産があると破産できないって本当?」
そういう不安を抱えて、調べているあなたへ。
結論から言うと、自己破産が完全に「できない」ケースはごく一部です。 多くの場合は、条件や手続きの問題であって、適切に対応すれば道は開けることが多いんです。
今回は元法律事務所事務員として約3年・延べ1500件以上の案件に関わった経験から、「自己破産できない場合」の現実をていねいに解説していくね。
この記事でわかること
- 自己破産が「できない」とされる法律上の理由(免責不許可事由)
- ギャンブル・浪費があっても救済されるケースがある理由
- 財産・収入があると破産できないのか
- 本当に破産が難しいケースとその対処法
- 任意整理・個人再生への切り替えポイント
自己破産には「免責不許可事由」という壁がある

自己破産は「借金をゼロにできる制度」ですが、正確には2段階あります。
- 破産手続の開始(破産者として認定される)
- 免責許可(借金の支払義務が免除される)
よく「自己破産できなかった」と言われるのは、ほとんどが「免責が許可されなかった」ケースです。
この免責を妨げる要因が、免責不許可事由(破産法第252条)と呼ばれるもの。
主なものをまとめると、こうなります。
免責不許可事由の主な種類
① 浪費・賭博(破産法252条1項3号)
パチンコ・スロット・競馬などのギャンブルで借金を膨らませた場合。 「遊んで借金した人は助けない」というイメージが強いですが、後で詳しく説明します。
② 射幸行為による損失(同4号)
FX・株式の信用取引・暗号資産(仮想通貨)などの投機的な取引で損失を出したケースも、これにあたります。
③ 財産の隠匿・損壊(同1号)
「破産するとわかっていて財産を隠した」「家族に贈与した」「価値のある資産を捨てた」などの行為。 これは裁判所から見て最も悪質とされるケースです。
④ 偏頗弁済(へんぱべんさい)(同3号)
破産直前に、特定の債権者(親・友人など)にだけ優先して返済する行為。 「みんなに平等に」が原則なので、これも不許可事由になることがあります。
⑤ 虚偽の債権者名簿(同5号)
申立書類に意図的に嘘の情報を記載した場合。
⑥ 説明義務違反・調査妨害(同6〜8号)
裁判所や管財人の質問に正直に答えない、書類の提出を拒むなど。
⑦ 破産免責後7年以内の再申立(同10号)
前回の免責から7年以内に再度申立てても、原則として免責は受けられません。
ギャンブル・浪費があっても免責される場合がある

ここが最も誤解の多いポイントです。
「ギャンブルで借金したら絶対ダメだ」 「浪費で作った借金は自己破産できない」
——こう思っていませんか?
実務上はそうとも限らないんです。
裁量免責という救済制度がある
破産法には、免責不許可事由があっても「裁判所が裁量で免責を認める」制度があります。これを裁量免責と言います(破産法252条2項)。
事務員時代に関わった案件でも、ギャンブルや過剰な浪費があったケースで、裁量免責が認められているケースは一定数ありました。
裁量免責が認められやすいポイントは、おおむね以下の通りとされています。
- 借り入れの経緯・ギャンブルをしていた経緯を正直に・具体的に説明できる
- 「なぜそうなったか」を整理して反省の姿勢が伝わる
- 申立書類・収支表が誠実に作成されている
- 破産申立て前に換金行為や財産隠しをしていない
- 管財人・裁判所の調査にきちんと協力している
逆に危ないのは、「隠せばバレない」と思って嘘をつくことです。財産隠し・虚偽申告は裁量免責どころか、免責不許可が確定しやすくなります。
一般に、裁量免責で救済されるケースは一定数あると言われています。ただし最終的な判断は裁判所が行うため、個別の案件については多くの場合弁護士・司法書士に確認してください。
「財産がある」「収入がある」と破産できないの?
よく受ける誤解がこれです。
「車を持っていたら破産できない」 「毎月給料が入っているから破産は無理だと思っていた」
これも正確ではありません。
財産があっても破産はできる
自己破産をすると、一定以上の財産は**管財人(かんざいにん)**によって換価・配当されます。 ただし「すべての財産が没収される」わけではなく、自由財産として手元に残せるものがあります。
一般に認められている自由財産の例(金額は裁判所・運用によって異なります):
| 財産の種類 | 扱いの目安 |
|---|---|
| 現金 | 99万円以下は手元に残せることが多い |
| 生活用品・衣類 | 原則手元に残る |
| 通常の家電製品 | 原則手元に残る |
| 差押え禁止財産 | 法律で保護されている |
一方、以下のようなものは原則として処分の対象になることがあります:
- 不動産(持ち家など)
- 一定額以上の預貯金
- 解約返戻金の高い保険
- 20万円を超える価値の財産(目安)
ただしこれは一般的な目安であり、実際の扱いは管轄の裁判所や案件の内容によって異なります。
収入があっても破産できる
「毎月収入があるから破産できない」も誤解です。
重要なのは収入の有無ではなく、**「収入に対して債務が多すぎて、現実的に返済が不可能かどうか」**という判断です。
事務員時代の経験では、安定した収入がある方でも借金が500万円・800万円を超えていて、任意整理の試算をしても月8〜10万円以上の返済が必要になるような場合には、破産・個人再生の検討に移るケースが多々ありました。
ただし、収入が一定以上ある場合は「個人再生」という選択肢もあります。詳しくは後述します。
本当に自己破産が難しい・向かないケース
ここまで「思っているより破産できる」という話をしてきました。 でも実際に「破産よりほかの方法が向いている」「破産は難しい」というケースも確かに存在します。
① 破産免責から7年以内の再申立て
前回の免責確定から7年以内は、原則として免責を受けることができません(破産法252条1項10号)。 この場合は任意整理・個人再生など別の手段を検討することになります。
② 職業制限が問題になる場合
破産手続き中(免責確定前)は、一部の職業に就くことができない制限があります。 代表的なものとして、弁護士・司法書士・行政書士・税理士・公認会計士・宅地建物取引士・保険外交員・警備員などが挙げられます(各業法による)。
ただし、これは「手続き中の制限」であり、免責が確定すれば原則として復権します。 「一生その仕事ができなくなる」わけではありません。
公務員については別途詳しく解説しているので、気になる方はこちらも参考にしてください。 → 公務員でも自己破産できる?仕事への影響を元事務員が解説
③ 任意整理・個人再生で十分解決できるケース
借金の総額が比較的少ない場合(200万〜400万円台)や、安定した収入があり3〜5年で完済できる見通しがある場合は、任意整理で解決できるケースも多いです。
「破産しないといけないか」の前に「任意整理や個人再生で解決できないか」を確認することが大切です。
→ 任意整理・個人再生・自己破産の違いを完全比較|元事務員が選び方を解説
④ 財産を意図的に隠していた場合
これは本当に注意してほしい点です。 「財産を隠しておけばバレないだろう」という判断は、裁量免責の余地すら消してしまうリスクがあります。
管財人の調査では、銀行口座の履歴・不動産登記・保険契約などがかなり細かくチェックされます。 隠した財産が後から発覚した場合、免責不許可になる可能性があるだけでなく、詐欺破産罪(破産法265条)として刑事責任を問われることも、法律上ありえます。
「正直に全部話す」が、結果として最も自分を守ることになります。
迷っているなら、まず相談だけでもしてみて

私自身、27歳のときに350万円の借金を抱えて、「自分みたいな人間が弁護士に相談していいのだろうか」と思っていました。
リボ払いとカードローンを何社にも渡って積み上げて、給料日にATMで残高ゼロを見て頭が真っ白になった夜のこと、今でもよく覚えています。
実際に相談してみると、担当の弁護士は責めるような言葉を一切かけなかった。 「こういう経緯で今ここにいる、それを整理して進めましょう」という姿勢だった。
事務員として働いた3年間も同じでした。 相談に来る方を責める弁護士は、まともな事務所にはいません。 「こんな借金の作り方をした自分は相談できない」と思っていた人が、ちゃんと手続きを進めて生活を立て直していく姿を、たくさん見てきました。
「自己破産できないかもしれない」と不安なら、その不安ごと弁護士に話してみてください。 ギャンブルのこと、浪費のこと、隠したいと思っていた事情——正直に話せる場所が、解決への入口になります。
個別の事情については、弁護士・司法書士への相談が必要です。初回相談は無料の事務所も多いので、まず話だけ聞いてみることをおすすめします。
まとめ:自己破産「できない」は思い込みのことが多い
| よくある思い込み | 実際のところ |
|---|---|
| ギャンブルしてたら絶対ダメ | 裁量免責で認められるケースも一定数ある |
| 財産があると破産できない | 自由財産は手元に残せることが多い |
| 収入があると破産できない | 返済不能かどうかが基準であって収入の有無ではない |
| 浪費・遊びで作った借金は対象外 | 経緯の説明と誠実な対応が重要 |
| 一生ローンが組めなくなる | 信用情報の回復には期間がかかるが(KSC7年・CIC/JICC5年が目安)、その後は回復する |
本当に破産が難しいケースもありますが、「できないと思っていたら実は道があった」というケースのほうが多いのが実態です。
一人で抱え込まず、まず専門家に相談することを強くおすすめします。
※ 本記事は2026年現在の一般的な情報をもとに作成した情報提供記事です。個別の案件の判断は弁護士・司法書士にご相談ください。 ※ 体験談は個人特定を避けるため属性の一部を改変しています。