個人再生の条件とは?認められる人・ならない人を元事務員が解説

こんにちは、ケイです。
「個人再生って、自分でも使えるのかな?」 「条件が厳しいって聞いたけど、どのくらい収入があれば大丈夫?」
そんな疑問、すごくよくわかります。
個人再生は、借金を大幅に減らしながら、家を残せる可能性がある手続きとして注目度が高い一方、「条件が複雑でよくわからない」という声も多い制度です。
私ケイは、20代で350万円の借金を抱えて任意整理を経験した後、法律事務所で約3年間事務員として勤務しました。受任前の相談対応から進行管理まで幅広く携わり、延べ数百件規模の個人再生案件を間近で見てきました。
この記事では、個人再生が認められる条件・認められにくい条件を、実務感覚を交えてできるだけ具体的に解説していきます。
この記事でわかること
- 個人再生が使える人の基本条件(収入・負債額など)
- 認められやすいケース・難しいケース
- 住宅ローン特則の条件と注意点
- 任意整理・自己破産との使い分け方
個人再生とは?まず基本をおさえよう

個人再生(個人民事再生)とは、裁判所を通じて借金の総額を大幅に減額してもらい、残りを3〜5年で分割返済していく手続きです。
自己破産との一番大きな違いは「借金をゼロにするのではなく、減らして返す」という点。そして個人再生ならではの強みが、一定の条件を満たせば持ち家を手放さずに済む「住宅ローン特則」の利用です。
3つの手続きの簡単な比較
| 手続き | 借金の扱い | 家はどうなる? | 収入は必要? |
|---|---|---|---|
| 任意整理 | 利息カット・減額 | 影響なし | 必要 |
| 個人再生 | 大幅圧縮(原則5分の1程度) | 残せる可能性あり | 必要 |
| 自己破産 | 原則ゼロに | 原則手放す | 不要 |
事務所での体感では、「任意整理では減額が足りない、でも破産で家を手放したくない」 という方が個人再生を選ぶケースが最も多かったです。
関連記事:任意整理・個人再生・自己破産の違いを完全比較|元事務員が選び方を解説
個人再生が認められる主な条件
個人再生には、法律(民事再生法)上いくつかの要件があります。実務的な観点でひとつずつ見ていきましょう。
条件①:継続的・反復的な収入があること
個人再生の最も重要な条件のひとつが、「継続して収入を得る見込みがあること」(民事再生法第221条)です。
具体的には、
- 毎月給与が入る会社員・パート・アルバイト
- 売上が安定しているフリーランス・自営業者
- 年金収入が継続的にある方
といった方が該当します。収入の「種類」は問われません。ただし、不定期収入・収入の見込みが立たない状態では認可が難しくなります。
事務所では「収入がゼロ、または見通しが立たない」という状況で個人再生を申し立てても、再生計画が認められにくいため、自己破産に切り替えるよう弁護士が助言するケースを複数見てきました。
条件②:負債の総額が5000万円以下(住宅ローンを除く)
個人再生が使える負債額の上限は、住宅ローンを除いた債務の合計が5000万円以下とされています(民事再生法第221条)。
事務所で扱った案件の体感では、
- 500万〜1500万円前後が最も多いゾーン
- 多い方で2000万円クラスもあった
- 任意整理で対応できない×収入はある、という状況がほとんど
つまり、「借金が多すぎて任意整理は無理、でも上限には収まっている」 という層に向いた制度です。
条件③:最低弁済額以上を返済できること
個人再生では、「最低限これだけは返しなさい」という基準額(最低弁済額)が定められています。一般的には以下のいずれか高い方が採用されます。
① 法定最低弁済額(負債額に応じた割合)
| 負債総額 | 最低弁済額の目安 |
|---|---|
| 100万円未満 | 全額 |
| 100万〜500万円未満 | 100万円 |
| 500万〜1500万円未満 | 負債の5分の1 |
| 1500万〜3000万円未満 | 300万円 |
| 3000万〜5000万円以下 | 負債の10分の1 |
② 清算価値(今ある財産を合計した額)
自己破産した場合に債権者に配当される財産の総額。これを下回る計画は認められません。
つまり、「3〜5年で最低弁済額以上を毎月返済し続けられるか」 が審査の核心になります。
認められやすいケース・難しいケース

条件の文字面だけでなく、実務上「通りやすい」「通りにくい」というパターンがあります。
認められやすいケース
①会社員・正社員で収入が安定している
毎月の給与が明確で、返済計画が立てやすいため、審査が通りやすい傾向があります。
②住宅ローンが残っていて、家族がいる
「家を残す必要がある」という事情は個人再生の強い動機となり、住宅ローン特則を使うことで計画が成立しやすくなります。
③借金の経緯が説明できる
生活費の補填、医療費、収入の急減など、やむを得ない事情がある場合は評価されやすいです。
④書類を適切にそろえられる
個人再生は書類が非常に多い手続きです。弁護士・司法書士と連携して必要書類を整えられる状態であることが大切です。
認められにくいケース
①収入が不安定・見込みが立たない
前述の通り、収入の見込みがなければ再生計画を組むことができません。
②負債が5000万円を超えている(住宅ローン除く)
法律上の上限を超えると個人再生は使えません。この場合は自己破産が選択肢になります。
③最低弁済額を毎月返せない
試算した月々の返済額が現実的でない場合、計画が認可されません。事務所では「月々10万円以上が必要」という試算が出た時点で自己破産への切り替えを検討することも多かったです。
④虚偽の申告や書類不備がある
裁判所に提出する書類なので、正確さが求められます。財産を隠したり、虚偽の内容を記載した場合は認可が取り消されるリスクがあります。
住宅ローン特則の条件と注意点
個人再生の最大の特徴のひとつ、住宅ローン特則についても整理しておきます。
住宅ローン特則とは、「個人再生をしながら、住宅ローンはこれまで通り払い続けることで、家を手放さずに済む」という制度です。
住宅ローン特則が使える主な条件
- 自宅(一戸建て・マンション)が自分の居住用であること
- 住宅ローンが住宅の購入または増改築のための借入であること
- その住宅に**担保(抵当権)**が設定されていること
- 住宅ローンが他の借金と区別されていること
事務所での体感では、「家を残したい」という相談者のほとんどが住宅ローン特則を念頭に置いていたといっても過言ではありません。
注意点:住宅ローン特則を使っても安心できないケースもある
住宅ローン特則で家を残せるとしても、以下の点は確認が必要です。
- 住宅ローン自体の支払いが重すぎる場合、他の借金を圧縮しても家計が回らないことがある
- 連帯保証人がいる場合、保証人への影響が出ることがある
- マンションの管理費・修繕積立金が滞っていると条件が変わることがある
「家を残せた=すべて解決」とはなりにくいケースもあるため、全体の家計バランスを弁護士としっかり試算することが大切です。
関連記事:住宅ローンが払えない時の対処法5つ|競売を避けて家を残す方法を元事務員が解説
個人再生と任意整理・自己破産の選び方

「どの手続きを使えばいいか」は、状況によって変わります。実務上の分かれ目を整理しておきます。
任意整理で十分なケース
- 借金の総額が比較的少ない(目安として200〜300万円程度まで)
- 月々の返済を少し減らせれば生活が回る
- 裁判所を使わずに静かに進めたい
- 特定の業者だけ整理したい
任意整理は手続きが比較的シンプルで、関係する業者だけを対象にできる柔軟さがあります。詳しくは任意整理の費用相場はいくら?分割払い・法テラス活用まで元事務員が解説もご覧ください。
個人再生が向いているケース
- 借金が多く(目安として500万円以上)、任意整理では返済が厳しい
- 持ち家があり、家族のために家を残したい
- 収入はあるが、今のままでは返済が追いつかない
- 自己破産は避けたい事情がある
自己破産が向いているケース
- 借金の総額が非常に多く、返済の見込みが立たない
- 収入がない・または非常に少ない
- 資産がほとんどなく、失うものが少ない
- とにかくゼロからやり直したい
詳しくは自己破産の条件とは?認められる人・認められない人を元事務員が解説をあわせてチェックしてみてください。
まとめ:個人再生は「条件が合う人には強力な選択肢」
個人再生が認められる主な条件をまとめると、
- 継続的な収入がある(給与・年金・事業収入など)
- 負債の総額が5000万円以下(住宅ローン除く)
- 最低弁済額を3〜5年で返済できるだけの収支バランスがある
- 書類を正確に整えられる
という点が核心になります。
事務所での経験上、個人再生は「条件がハマる人には非常に力強い手段」です。一方で、収入の安定性や月々の返済能力が見込めない場合は、自己破産を検討したほうがトータルでうまくいくケースも多い印象でした。
「自分はどちらが向いているのか」は、借金の金額・収入・家族構成・資産状況などを総合的に見て判断する必要があります。一人で悩まず、まずは弁護士・司法書士への無料相談を活用してみてください。
この記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の法的判断ではありません。具体的な手続きや見通しについては、多くの場合専門家にご相談ください。
※相談者の属性・エピソードは個人特定を避けるため、一部内容を改変しています。