個人再生の流れ完全ガイド|申立てから認可まで6ステップ(元事務員のケイが解説)

こんにちは、ケイです。
「個人再生って、手続きの流れが複雑そうで怖い……」 「どのくらい期間がかかるの?途中で挫折しないか不安」
そんな声、事務員時代に本当によく聞きました。
個人再生は、任意整理では減額が足りないけれど、自己破産で家を失いたくない——そういう人のための手続きです。確かに流れは複雑ですが、ひとつずつ順番に理解すれば、決して無理な手続きではありません。
この記事では、個人再生の流れを申立て前の準備から再生計画の認可まで、6つのステップに分けて解説します。
この記事でわかること
- 個人再生の全体の流れ(6ステップ)
- 各ステップにかかる期間の目安
- 必要書類・費用感
- 失敗しやすいパターン
- 住宅ローン特則とは何か
個人再生とは?まず30秒でおさらい

個人再生(正式名称:個人再生手続)とは、裁判所を通じて借金を大幅に減額し、残った金額を3〜5年かけて返済していく法的手続きです。
一般的な目安として、借金総額が500万円以下なら100万円に、500万〜1500万円なら5分の1に圧縮できるケースが多いとされています(最終的な金額は裁判所や財産状況によって異なります)。
任意整理・自己破産との大きな違いはここです。
| 手続き | 減額幅 | 家・車 | 職業制限 |
|---|---|---|---|
| 任意整理 | 利息カット中心 | 残せる | なし |
| 個人再生 | 元本ごと大幅圧縮 | 条件付きで残せる | 原則なし |
| 自己破産 | 全額免除 | 手放す場合が多い | 一部あり |
「家を残したい」「でも任意整理では返済が追いつかない」——この2つが揃ったとき、個人再生が選択肢に上がることが多いです。
詳しい選び方については 任意整理と個人再生の違い|選び方を元事務員が解説 も参考にしてみてください。
個人再生の流れ:全体像
大まかな流れはこのとおりです。
①弁護士・司法書士への相談・依頼
↓
②申立て前の準備(書類収集・家計管理)
↓
③裁判所への申立て
↓
④履行テスト(積立て期間)
↓
⑤再生計画案の提出・認可
↓
⑥返済開始(3〜5年)
申立てから認可までおおよそ6〜12ヶ月かかるケースが多く、その後3〜5年の計画返済が続きます。
「え、1年以上かかるの?」と驚く方もいますが、その間は弁護士・司法書士が債権者対応を引き受けてくれるので、受任後は督促電話が止まり、精神的な余裕が生まれることが多いです。
ステップ別に流れを詳しく解説
ステップ①:弁護士・司法書士への相談・依頼
まず弁護士または司法書士に相談し、個人再生が適しているかどうかを一緒に確認します。
このステップでやること
- 借金の総額・月収・家族構成・資産状況を整理して伝える
- 住宅ローン特則を使うか(家を残すか)を検討する
- 費用の見積もりと支払い方法を確認する
個人再生の弁護士費用は一般に30〜50万円前後とされています(住宅ローン特則ありの場合はさらに数万円加算されるケースも)。着手金は分割払い対応の事務所が多く、法テラスの利用も条件次第で可能です。費用の詳細は 法テラスで債務整理の費用はいくら?元事務員が解説 をご覧ください。
受任後は即日、代理人通知が届く
依頼が決まると、弁護士・司法書士から各債権者に「受任通知」が送られます。これにより、法律(貸金業法)に基づき督促電話や取り立てが止まるのが一般的です。
ステップ②:申立て前の準備(書類収集・家計管理)
ここが個人再生で最も時間と労力がかかるフェーズです。事務員時代、「書類がしんどくて途中でくじけそう」という相談者を何人も見てきました。
必要書類の例(一部)
- 直近2〜3年分の収入証明(源泉徴収票・給与明細)
- 家計収支表(毎月の収入・支出の記録)
- 財産目録(預貯金・保険解約返戻金・不動産・車など)
- 債権者一覧と残高証明書
- 住宅ローンの残高証明・返済予定表(住宅ローン特則を使う場合)
書類の量は自己破産と並んで多く、2〜4ヶ月程度かかることも珍しくありません。
また、裁判所によっては「家計管理の習慣が身についているか」を見るために、申立て前から毎月の収支を記録・提出するよう求められることもあります。
なぜ家計管理が必要なの?
個人再生は「これから3〜5年、計画通りに返済できる見込みがある人」が対象の手続きです。「収入があり、節約すれば返せる」という実績を裁判所に示すために必要、と理解しておくとスムーズです。
ステップ③:裁判所への申立て
書類が揃ったら、弁護士(または司法書士)が裁判所に申立てを行います。自分で裁判所に行く必要は基本的にありません(代理人が対応するため)。
裁判所から「個人再生手続開始決定」が出ると、正式に手続きがスタートします。
ステップ④:履行テスト(積立て期間)

ここは個人再生特有のステップで、知らなかった!という方が多いです。
「履行テスト(いこうテスト)」とは、再生計画通りに返済を継続できるかを確認するため、申立てから認可までの数ヶ月間、毎月一定額を積み立てる仕組みです。
積立額の目安は、計画返済の月額(圧縮後の借金総額 ÷ 36〜60回)と同程度が一般的です。
積立てができないと計画が崩れる
履行テストで積立てが滞ると「返済継続の見込みなし」と判断され、再生計画が認められないリスクがあります。収入が不安定な時期に個人再生を選ぶと、ここで詰まるケースがあります。
「毎月の積立てを維持できるか」が個人再生の成否を分ける大きなポイントのひとつです。
ステップ⑤:再生計画案の提出・認可
弁護士が再生計画案(いつまでにいくら返すかの計画書)を作成し、裁判所に提出します。
小規模個人再生と給与所得者等再生の2パターン
個人再生には2種類あります。
- 小規模個人再生:債権者の過半数が同意すれば認可される。自営業・フリーランスも利用可能
- 給与所得者等再生:安定した給与収入がある会社員向け。債権者の同意が不要だが、返済額が高くなる場合がある
会社員の場合はどちらを選ぶかを弁護士と相談しながら決めます。
認可が下りれば手続きは終盤へ
裁判所が再生計画を認可すると、「再生計画認可決定」が出ます。これが確定すれば、いよいよ返済開始です。申立てから認可決定まで、一般的には6〜12ヶ月程度かかるとされています。
ステップ⑥:再生計画に沿って返済開始(3〜5年)
認可後は、圧縮された借金を3〜5年(36〜60回払い)で返済していきます。
この期間、クレジットカードは使えません(信用情報に事故情報が登録されるため)。いわゆる「ブラックリスト」状態で、一般的にKSCでは7年、CIC・JIICでは5年程度記録が残るとされています。
ただし、返済が完了して信用情報が回復すれば、カードもローンも再び利用できるようになります。私自身、任意整理後に経験したことですが——完済後の5〜6年はしんどいと感じることもありましたが、今はクレカもローンも普通に使えています。回復は多くの場合きます。
住宅ローン特則とは?家を残したい人へ
個人再生の大きな特徴のひとつが「住宅ローン特則」です。
通常の個人再生では、住宅ローンも他の借金と同様に圧縮の対象になります。しかしそれでは住宅ローンの担保(家)が競売にかかる可能性が出てきます。
住宅ローン特則を使うと、住宅ローンは圧縮せず今まで通り払い続けながら、その他の借金だけを圧縮できます。つまり「家はそのままで、カードローン・消費者金融の借金だけを減らす」ことが可能になるわけです。
住宅ローン特則の主な要件(一般的なもの)
- 住宅ローンが残っている自分名義の住宅がある
- 住宅ローンが滞納中でないこと(または保証会社が代位弁済していないこと)
- 申立て時点で住んでいること
要件を満たしているかは個別の事情によって異なるため、多くの場合弁護士に確認してください。
住宅を守るための手続きについては 住宅ローンが払えない時の対処法5つ|競売を避けて家を残す方法を元事務員が解説 も参考になります。
個人再生が向いている人・向いていない人

向いている人
- 安定した収入があり、圧縮後の金額なら返済を継続できる
- 住宅ローンが残っていて家族と住んでいる
- 任意整理を試算したが月々の返済額が現実的でなかった
- 資格・職業上の理由で自己破産を避けたい
向いていない人
- 収入が不安定で毎月の積立てが難しい状況
- 借金額が少なく(100万円以下など)、任意整理で対応できる
- 住宅ローンを含めたすべての負債を整理したい
「自分はどれが合うのか?」が気になる方は 任意整理・個人再生・自己破産の違いを完全比較|元事務員が選び方を解説 を読んでみてください。
失敗しないための3つのポイント
事務員時代に見てきた「個人再生がうまくいかなかったケース」には共通するパターンがありました。
① 書類集めで途中離脱しない
「書類が多すぎてつらい」という理由で途中で止まってしまう方が一定数います。弁護士・司法書士と細かく連絡を取り合い、わからないことはすぐ聞く姿勢が大切です。
② 履行テスト中の積立てを切らさない
申立てから認可まで、毎月の積立てを継続することが不可欠です。収入の変動があるタイミングには特に注意してください。
③ 認可後も3〜5年の計画返済を維持する
認可が終わりではなく、そこからが本番です。家計管理を習慣化しておくことが長期的な成功につながります。
まとめ
個人再生の流れを改めて整理します。
- 弁護士・司法書士への相談・依頼 → 督促が止まる
- 書類収集・家計管理の準備 → 2〜4ヶ月程度
- 裁判所への申立て
- 履行テスト(積立て期間)
- 再生計画案の提出・認可
- 3〜5年の計画返済
申立てから認可まで6〜12ヶ月、その後3〜5年の返済——決して短い道ではありません。でも「家を残しながら借金を大幅に減らせる」という点で、条件がハマる人にとっては強力な選択肢です。
「自分に向いているか」「住宅ローン特則は使えるか」は、一人で判断するより専門家に相談した方がずっと早く確実です。
個別の判断は多くの場合弁護士・司法書士に相談してください。無料相談を実施している事務所が多いので、まずは一歩踏み出してみてください。
個人情報保護のため、事務員時代の相談者エピソードは属性を一部改変しています。