【体験談】連帯保証1200万円・50代自営業の自己破産

こんにちは、ケイです。
今日は、私が法律事務所で事務員として働いていた頃に出会った相談者の話を書いていくね。
50代の自営業男性が、親族の連帯保証で突然1200万円を背負ってしまい、最終的に自己破産で生活を立て直したケース。
「自分で作った借金じゃないのに…」 「親族のことだから断れなかった」 「もう人生終わりだと思った」
そんな言葉を、私は事務員時代に何度も聞いてきました。連帯保証による破産は、自分の浪費や生活費の積み重ねとは違う、ある意味で「巻き込まれ型」の債務整理。本人には非がないのに、ある日突然1000万円規模の請求が降ってくる、というケースです。
この記事は、
- 「連帯保証人になっていた親族(または知人)が支払えなくなり、自分に請求が来てしまった」
- 「自分のせいじゃないのに、自己破産していいのか迷っている」
- 「自営業だけど破産できるの?仕事は続けられるの?」
って悩んでいる人に向けて書いていきます。
この記事でわかること
- 連帯保証で1200万円を背負うことになった経緯
- 「自分の借金じゃないのに破産していいのか」という葛藤
- 自営業者が自己破産する場合のポイント
- 受任から免責までの流れと期間
- 手続き後、仕事と生活がどう変わったか
連帯保証で1200万円、ある日突然背負わされた借金

相談に来られた方をここでは「Fさん」と呼びますね。
Fさんの基本プロフィール
- 50代前半・男性
- 地方都市で小さな事業を営む自営業者(従業員数名規模)
- 妻・子ども2人(大学生と高校生)
- 自宅は持ち家(住宅ローン残あり)
- 自身の借金はほぼゼロ。事業も赤字ではなかった
Fさんは、いわゆる「真面目に働いてきた人」の典型でした。事業はそこまで大きくはないけれど安定していて、家族を養いながら、地域でコツコツやってきた方。
借金とは無縁の人生だったんです。連帯保証人になるまでは。
きっかけは親族の事業の連帯保証
Fさんが連帯保証人になったのは、親族が事業を始めるときの融資。金額は1200万円規模。
「親族から頼まれて、断れなかった」 「まさか自分に請求が来るとは思わなかった」 「事業は順調と聞いていた」
これは事務員時代、似たような相談で何度も聞いた言葉です。連帯保証は「もしものときの形だけ」と思って引き受ける方がとても多い。でも法律上、連帯保証人は主債務者と同じ責任を負います。
そして数年後、その親族の事業が立ち行かなくなり、返済が滞りました。
Fさんのところに、ある日突然、債権者から1200万円の一括請求が届いたんです。
「自分の借金じゃないのに破産していいのか」という葛藤

Fさんが事務所に最初に相談に来られたとき、表情は驚くほど冷静でした。でも話を聞いていくと、内側ではぐちゃぐちゃに揺れていることが伝わってきたのを覚えています。
「親族との関係」と「家族の生活」の板挟み
Fさんが一番悩んでいたのは、お金の話そのものではなく、人間関係でした。
- 親族に「払えないから破産する」と伝えづらい
- 自分が破産することで親族との関係が完全に壊れる
- でも自分が払い続けたら、自分の家族の生活が崩れる
- 子どもの学費はどうなるのか
「自分の作った借金なら諦めもつく。でも、これは自分のせいじゃない。それなのに、なぜ自分が破産しなきゃいけないんだ」
この言葉、私は今も覚えています。
でも、私が事務員として何件も似たケースを見てきて感じたのは、連帯保証で背負った債務も、法律上はFさんの「自分の借金」として扱われるということ。誰のせいかは関係なく、請求は容赦なく来ます。
任意整理・個人再生は現実的だったのか
弁護士との初回面談では、まず3つの選択肢が比較検討されました。
- 任意整理:1200万円を3〜5年で返済となると、月20万円超。事業の利益と家庭の生活費を考えると現実的ではない
- 個人再生:住宅ローン特則で家を残せる可能性はあるが、それでも圧縮後の返済額が事業のキャッシュフロー的に厳しい
- 自己破産:家は手放すことになるが、債務はゼロにできる
【体験談】500万円の借金を自己破産した30代男性の全記録(元事務員のケイが解説)でも書いたけど、「3〜5年で完済できるか」がNOなら、破産・個人再生に切り替わるのが実務の感覚です。
Fさんの場合、1200万円という金額と事業のキャッシュフローを考えると、任意整理は最初から選択肢から外れていました。
自営業者が自己破産する場合のポイント

Fさんがもう一つ強く不安がっていたのが、「自営業を続けられるのか」という点でした。
事業の継続可否
ここは弁護士の判断と事業の中身によって変わるので一般論として書きますが、自営業者が自己破産する場合、以下の点が論点になることが多いです。
- 事業用の資産(在庫・設備・売掛金)の扱い
- 取引先との契約関係
- 屋号や事業そのものの継続可能性
- 一部の士業・資格職では資格制限がかかる職業も
Fさんの業種は資格制限の対象外でした。事業用資産も大きな設備はなく、規模的に管財事件にはなったものの、事業そのものをたたむ必要はないという見立てに。
持ち家は手放すことになった
つらかったのは、自宅でした。住宅ローンが残っていて、かつ評価額がローン残高を上回っていたため、家は手放すことに。
奥様とお子さんへの説明は、Fさんが一番気を重くしていた部分です。
ただ、私が事務員として印象的だったのは、ご家族の反応でした。Fさんが思い切って家族会議で全部話したところ、奥様は「家より、あなたの心と家族の生活のほうが大事」と言われたそうです。
人によって反応は違うので一概には言えないけれど、**「一人で抱え込んでいたものを家族に話したら、思っていたより受け止めてもらえた」**というケースは、事務員時代に本当によく見かけました。
受任から免責までの流れと期間

Fさんのケースは管財事件になりました。自営業者で、ある程度の資産があり、債務額も大きいケースは管財事件になることが多いです。
大まかなスケジュール
一般的な流れとして、Fさんのケースでも以下のような期間感で進みました(あくまでも一例で、実際は事案ごとに変わります)。
- 受任〜書類収集:約2〜3ヶ月
- 自営業者は確定申告書、事業の帳簿、預金通帳など、用意する書類が会社員より多い
- 申立て〜開始決定:1〜2ヶ月
- 管財人面談・債権者集会:開始後数ヶ月
- 免責決定:申立てから半年〜1年程度
受任通知が出た時点で、債権者からの直接の請求は止まります。Fさんが一番ホッとされたのは、この瞬間だったそうです。
「ようやく夜眠れるようになった」とおっしゃっていたのを覚えています。
免責不許可事由は問題にならなかった
Fさんの場合、浪費やギャンブルといった免責不許可事由はなく、債務の発生原因も連帯保証で本人に過失があるわけではないため、免責は比較的スムーズに認められました。
【20代体験談】450万円の借金を自己破産で解決した会社員Cさんの話で書いた通り、自己破産は「特別な人の制度」ではなく、返済不能になったときの現実的なリセット手段。Fさんのような連帯保証被害のケースこそ、本来この制度が想定している救済対象だと、私は事務員時代に何度も感じました。
手続き後、Fさんの仕事と生活はどう変わったか

事業は規模を縮小しつつ継続
Fさんの事業は、規模を縮小する形で継続できました。免責後しばらくは現金商売中心になり、しばらくは新規の借入や事業ローンは組めない状態が続いたそうです。
信用情報の登録期間は、一般にKSC(全国銀行個人信用情報センター)で7年、CIC・JICCで5年とされています。この期間を過ぎれば、信用情報は回復していきます。
住まいは賃貸へ
持ち家は手放したものの、家族で賃貸に引っ越し、新しい生活が始まりました。
Fさんが事務所に挨拶に来られたとき、こんなことを言っていました。
「家を失ったのは正直つらい。でも、毎月の返済に追われない生活がこんなに楽だとは思わなかった」
親族との関係
親族との関係は、しばらくは距離ができたそうです。これは連帯保証ケースではよくあることで、避けられない部分でもあります。
ただ、Fさんは「自分の家族の生活を守れたのだから、それでいい」と整理されていました。
連帯保証で苦しんでいるあなたへ

連帯保証による債務は、本当に理不尽です。自分が使ったわけでもないお金の請求が、ある日突然降ってくる。
でも、法律上はあなたの債務として扱われます。だからこそ、債務整理という制度はあなたのためにも用意されているんです。
私が事務員時代に見てきた連帯保証ケースで、共通していたのは以下のことでした。
- 一人で抱え込まないほうがいい:判断力が落ちて、悪い方向に進みやすい
- 早く相談したほうが選択肢が広がる:差押え前なら手続きの選択肢が多い
- 家族には早めに話したほうがいい:思っているより受け止めてもらえることが多い
「借金で首が回らない」状態から抜け出した私の体験談|元債務者が語るでも書いたけど、追い詰められているときほど、第三者の視点が必要です。
弁護士相談は、怖い場所ではありません。むしろ、自分一人では見えなくなっていた選択肢を整理してくれる場所です。Fさんも最初は「破産なんて」と抵抗していたけれど、最終的には「もっと早く相談すればよかった」とおっしゃっていました。
なお、個別の事案については弁護士・司法書士にご相談ください。この記事はあくまで情報提供であり、法的助言ではありません。
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